扶養控除における節税法

《家族構成》
夫(会社員)
妻(会社員)
子(高校生)

上記のような家族構成の場合、子供を誰の扶養にするかは夫婦のうち所得の高い方から扶養控除した方が世帯としての所得税の金額が減少することになります。
※夫婦の所得金額にほとんど差がなく税率が同じ場合はどちらから控除しても変わりません。

しかし、所得金額は1年を通してみないとどちらが高いかわかりません。
例えば妻の生命保険が満期となり急に所得が増えたなどの場合は、当初夫の扶養としていた子供を、妻の扶養に付け替えをしたいという人もいるかと思います。

その際に、扶養の変更ができるケースとできないケースがあることはご存じでしょうか。

該当条文

所得税法85条一項
二以上の居住者の扶養親族に該当する者がある場合には、その者は、政令で定めるところにより、これらの居住者のうちいずれか一の居住者の扶養親族にのみ該当するものとみなす。

所得税法施行令218、219条抜粋
二以上の居住者の扶養親族に該当する者をいずれの居住者の扶養親族とするかは、これらの居住者の提出するその年分の申告書等に記載されたところによる。
ただし、その扶養親族がいずれか一の居住者の扶養親族に該当するものとされた後において、これらの居住者が提出する申告書等にこれと異なる記載をすることにより、他のいずれか一の居住者の扶養親族とすることを妨げない。

該当条文の解説

所得税法においては、いろいろな申告書が出てきますが、このケースにおける申告書等とは、
①予定納税額の減額の承認申請書
②確定申告書
③給与所得者の扶養控除等申告書
④従たる給与についての扶養控除等申告書
⑤給与所得者の配偶者控除等申告書
⑥公的年金等の受給者の扶養控除等申告書
のみとされており、税額を増やす修正申告書や税額を減らす更正の請求書などは含まれません

それぞれのケースによる事例

それでは夫から妻へ扶養の付け替えをするケースで、できるケースとできないケースを考えてみたいと思います。

《ケース1》

夫…年末調整で子を扶養
妻…扶養なし

このケースでは、夫が扶養なしで、妻が扶養として両方確定申告することで変更が可能となります。

《ケース2》

夫…確定申告で子を扶養
妻…扶養なし

このケースでは、夫が扶養なしで修正申告、妻が扶養として確定申告をしなければなりませんが、夫の提出する修正申告は施行令の申告書等に該当しませんので変更はできません

《ケース3》

夫…確定申告で子を扶養
妻…確定申告で扶養なし

このケースも、夫が扶養なしで修正申告、妻が扶養として確定申告をしなければなりませんが、ケース2と同様、修正申告は施行令の申告書等に該当しませんので変更はできません

【参考】

夫…確定申告で子を扶養
妻…年末調整で子を扶養

このケースは単なる扶養の重複計上で、子供の扶養移動するケースではないので、夫が修正申告を提出すれば大丈夫です

扶養の付け替えに関しては、いつでも簡単にできそうですが、手続きの順番を間違えるとできなくなることもありますので注意が必要です。